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2026.8.6

#9  27歳からの挑戦 - 後編 -

IL NODO | オーナーシェフ 松井 昭憲

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Continuation

前編の続き

27歳で料理人の道へ進み、人一倍の努力を重ねながら経験を積んできた松井シェフ。前編では、畑や漁港へ自ら足を運び、生産者と向き合うことで育まれた料理哲学、そして「生産者とお客様をつなぐ」という想いを込めたレストラン「IL NODO」の原点について伺いました。後編では、その想いをさらに深く掘り下げます。なぜ松井シェフは鎌倉という街で料理を続けることを選んだのか。そして、イタリアで学んだ食文化や体験を通して、どのようなレストランを目指しているのか。料理は、ただ美味しさを追求するだけではなく、その土地の文化や人とのつながりを感じる体験でもある。松井シェフが描く鎌倉の食文化の未来、そして料理人としてのビジョンについて伺いました。

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第 4 章 鎌倉だからこそできる料理

─ 鎌倉の食の魅力を教えてください。

鎌倉には、本当に素晴らしい生産者の方がたくさんいます。畑へ足を運べば直接お話ができますし、食材が育つ環境まで自分の目で見ることができます。料理人と生産者の距離が近いことは、この街ならではの大きな魅力ですね。また、海や山など自然が身近にあり、季節ごとにさまざまな食材と出会える環境にも恵まれています。食材そのものはもちろん、その土地の景色や風土まで含めて料理に影響を与えてくれる。それが鎌倉で料理をする一番の魅力だと感じています。

─ 鎌倉の食文化に、どのような可能性を感じていますか。

魅力的な生産者や料理人が、それぞれが個々に頑張るだけではなく、みんなでつながることで、この街全体の魅力はもっと大きくなると思っています。鎌倉という街を目的に訪れ、その中で食を楽しんでいただけるような場所になっていったら嬉しいですね。

─ 松井シェフが思い描く、鎌倉の未来を教えてください。

料理だけではなく、器や工芸、農業など、この土地には素晴らしい文化があります。それぞれがつながることで、鎌倉ならではの新しい食文化が生まれると思っています。料理人として、そのつながりを少しでも増やしていきたいです。

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第 5 章 料理は、味だけではない

─ 松井シェフが考える、良いレストランとはどのような場所ですか。

美味しい料理を提供することはもちろん大切です。でも、それだけでは印象に残らないと思っています。料理は、お店の空間やサービス、会話、その日の雰囲気まで含めて完成するものです。お客様には、一皿だけではなく、その時間そのものを楽しんでいただきたいです。

─ そう考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか。

イタリアでの経験は大きかったですね。イタリアでは、食事を楽しむ時間そのものをとても大切にしていました。仕事の合間でもワインを飲んだり、家族や友人と会話をしながら、みんなで賑やかに食卓を囲んでいる。特に印象に残っているのが、地方の食堂です。決して特別に手の込んだ料理ではなくても、その土地で採れたものを使った料理を、その土地の空気の中で食べると、ものすごく美味しく感じるんです。そこで初めて、美味しさは、料理の味だけで決まるものではないんだと感じました。

─  「味だけではない美味しさ」とは、どのようなものなのでしょうか。

「美味しい雰囲気」というものがあると思っています。どこで食べるのか、誰と食べるのか、どんな人が料理を運んできてくれるのか。周りの会話や空気も含めて、料理の感じ方は変わると思うんです。昔は僕も、料理人だから「味で勝負するものだ」と思っていました。でも、いろいろな土地で食事をしてきて、料理だけではつくれない美味しさがあることに気づきました。

─  IL NODOで、お客様に一番持ち帰ってほしいものは何ですか。

「美味しかった」と言っていただけるのは、もちろん嬉しいです。でも僕は、「楽しかった」と言ってもらえることが一番嬉しいんです。料理の細かな味をすべて覚えていなくても、「あの日、楽しかったな」と、その時間が記憶に残る。それが僕にとって、良いレストランなんだと思います。

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第 6 章 料理で、鎌倉の未来をつくる

─ 今後、挑戦してみたいことはありますか。

レストランの中だけではなく、外へ飛び出した取り組みにも挑戦していきたいです。例えば、生産者や職人の方々と一緒に、その土地ならではの食体験をつくるようなイベントです。料理だけではなく、鎌倉の自然や文化も含めて楽しんでいただけるような機会を増やしていきたいと思っています。IL NODOという一軒のレストランだけではなく、鎌倉という街全体の食文化を盛り上げていきたいと思っています。この街には、まだまだ多くの魅力があります。料理を通して人と人をつなぎ、この街を訪れる理由の一つが「食」になるような、そんな未来に少しでも貢献していきたいです。

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Epilogue

最後に

松井シェフのお話を通して印象的だったのは、「料理は、一皿の中だけで完結するものではない。」という考え方でした。生産者の想いを受け取り、その土地の風土や文化を一皿に表現し、お客様へ届ける。そして、人と人、街と人をつないでいくことが、IL NODOの料理に込められた想いです。一皿の先にある"つながり"を大切にする松井シェフの料理は、これからも鎌倉の食文化を紡ぎ、人と人を結び続けていきます。

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Profile

プロフィール

IL NODO オーナーシェフ 松井 昭憲 氏

27歳で料理人の道へ進み、都内のイタリア料理店で研鑽を積んだ後、イタリアでも食文化やレストランの在り方を学ぶ。鎌倉・長谷にイタリアンレストラン「IL NODO」を開業し、2022年から5年連続で世界的レストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」に掲載。生産者とのつながりを何よりも大切にし、自ら畑や漁港へ足を運びながら、その土地の風土や文化を映し出す料理を追求している。「つなぐ」を意味する店名の通り、生産者とお客様を結ぶ一皿を届け続けている。

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