#5 一目惚れした、鎌倉の土地と人
心与 | 店主 ユーゴ ペレ ガリックス

01 プロフィール
フランスで生まれ育ち、来日して今年で11年目。2026年6月、北鎌倉で開店予定の日本料理「心与(みよ)」オーナー兼店主 のユーゴ ペレ ガリックスさん。15歳から料理人を目指し、フランスのレストラン『シャトー・コルディアン・バージュ』にてティエリーマルクス氏に師事。とあるきっかけから「いつか日本で料理人として活躍したい。」という想いを抱いていた頃、京都で16年間ミシュラン三つ星を獲得する、「菊乃井 本店」大将 村田氏が、京都市と取り組むプロジェクトの第一期生として来日。来日後、「菊乃井 本店」、ミシュラン二つ星を獲得する「エスキス」で修行を重ね、2024年に「氣分」の料理長としてミシュラン一つ星を獲得。そして今年、北鎌倉で自身のお店をオープン。本インタビューでは、彼の原点、開業への想い、そして日本料理と鎌倉への愛をお話しいただきました。

02 原点を辿る
日本料理との出会いは、一匹のスズキから
私は15歳から生まれ育ったフランスで、料理人としてのキャリアをスタートさせました。日本料理との出会いは、日本で教授を務めていた叔父が、フランスへ持ち帰ってきたスズキを捌き、お刺身として食べたことがきっかけです。魚を捌いて、醤油で食べる。それは、とてもシンプルな料理ですが、美味しく、フランス料理をしてきた私にとっては衝撃であり、日本料理の奥深さや文化に興味を持つようになりました。また、働いているレストランには、日本人が働いており、彼の料理や仕事に対する姿勢に感銘を受け、「いつか日本で料理をしたい」という想いを抱くようになりました。そしてついに、京都の名店「菊乃井 本店」と京都市が取り組むプロジェクトの第一期生として、日本への切符を手に入れました。

03 心与の由来
料理だけでなく、心に与える場所に
来日後、「菊乃井 本店」「エスキス」といった、一流のお店、一流の料理人から技術や精神を学ばせていただき、前職では料理長としてミシュラン一つ星を獲得することができました。そして自分のお店を持つことを決意した時、導かれるように、築100年以上の歴史ある日本家屋「去来庵」と出会いました。鎌倉の歴史や風土を調べていく中で、海と山、歴史と文化が根付くこの街は、私が表現したい料理、体験にぴったりな土地だと感じました。そしてこの「去来庵」の門を開けた瞬間、「ここだ!」と一目惚れしました。美しい緑に囲まれた静かな庭と、貫禄のある家屋。この味わい深い空間に身を置いた時、ふと“心に与える”という言葉が浮かんできました。料理だけでなく、“心”も一緒に届けるお店でありたい。その想いから「心与(みよ)」という店名に決めました。
04 鎌倉への愛
鎌倉を食の目的地に
私は将来的に、“鎌倉を食の目的地”として、街づくりに貢献していきたいと思っています。その理由は、去来庵の大家さんをはじめ、鎌倉でレストランを営む料理人の方々から、沢山の応援やご縁をいただいたからです。同業者にも関わらず、私のように新しく来た人を、あたたかく受け入れてくださり、新しいご縁をいただいたり、相談もさせてもらいました。鎌倉は歴史がある街だけど、“新しいもの”を受け入れてくれる大きな器のある街。「料理人として鎌倉を盛り上げていこう」という想いを持った方がたくさんいる。私はそんな鎌倉が大好きですし、私も食を通じて鎌倉を盛り上げたい。近い未来、鎌倉の素敵な料理人の方々の知識や経験、精神を共有し合い、料理人同士が支え合う環境や取り組みもしていきたい。鎌倉に魅了された料理人が日本全国から集まり、魅力的な“食の街”として、多くの人が目的地として足を運んでもらえるようにしたいです。

05 最後に
今回のインタビューを通して、ユーゴさんの日本料理への愛、鎌倉への愛を強く感じました。フランスから、自らの“腕”と“夢”だけを持って来日し、ミシュランスター獲得から心与のオープンまで、私たちでは想像もつかないほどの、努力と忍耐を経験されてきたと思います。しかし、ユーゴさんから出る言葉は、苦しみや嘆きではなく、感謝や愛に溢れています。日本料理や文化、そして鎌倉が好き。たくさんの人が、その純粋な想いに惹かれ、鎌倉を代表するお店になると信じています。そして改めて、鎌倉は“新しいものを受け入れてくれるあたたかい街”であると感じました。鎌倉と食。私たちも、この鎌倉の魅力をこれからもお届けして参ります。






