#3「鎌倉は、雨が 美しさに変わる場所」
雨 ame art products / 雨 北鎌倉 代表
亀井 紀彦 さん
Norihiko Kamei

Profile
亀井 紀彦さんを知る
日本文化で大切にされる、美意識と自然観を表現した作品を制作する「雨 ame art products」代表 兼 美術作家・花道家の亀井 紀彦さん。東京の美術大学院を卒業後、様々なアート活動を通じて国内外で活躍。そして2020年、北鎌倉にアトリエ「雨 北鎌倉」を構え、国内だけでなく海外からも、その唯一無二の作品を求めてアトリエを訪れます。幼少期に訪れた伊勢神宮に感動し、日本文化や神道に興味を持ち、茶道や華道を始める。その中で得た精神性や審美性が、現在の作品づくりに大きな影響を与えています。インタビューを 通じて、“亀井さんにとっての鎌倉”や“作品づくりにおける思想”などをお届けいたします。

原点を辿る
ひとつひとつの作業が祈りに通じる
はじまりは、幼少期に父と訪れた伊勢神宮。
そこで目にした日本文化や神道に強く感銘を受けたことが、私の原点です。
それから時が経ち、美大時代の先生からの「伊勢神宮の日の出を感じなさい」
という言葉に導かれ、再び伊勢神宮を訪れました。
そして日の出を迎えた瞬間、その神々しい姿に心を打たれ、改めて日本文化や美意識に惹かれていきました。
そこから茶道や華道へと興味は広がり、日本の美学や自然との関わりを学び、
今では私の作品のすべてに自然の恵みと日本の美学が表現されています。
かつて日本人が偉大な自然の力を信じ、お祈りをしたように、
作品をつくるときのひとつひとつの作業が、祈りに通じていると感じています。

作品づくりの哲学
景色や想いを作品に宿す
作品づくりにおいて、まず美しいものを作りたい。
しかしただ美しいだけでなく、その中に景色や想い、ひとつひとつのコンセプトを大切にし、各作品には「景色」「風」「時」「山」など、その思想を表現するタイトルを日本語でつけています。
これまで私が見てきた自然の景色を、作品で表現しています。
中には、鎌倉の景色から着想を得て生まれたものもあります。
そして自然の景色を表現する作品は、香りへと繋がりました。
香りの起源は植物。つまり花であり、自然そのもの。
石付きの作品に、特別に調香したアロマオイルを垂らすことで、その花畑から風に乗って花々の香りを感じることができる。
視覚・嗅覚からその景色を楽しんでいただきたいです。

「雨」の由来
雨が美しさに変わる場所
雨を想像すると、一見どこかネガティブな印象を感じる方も少なくないと思います。
しかし雨は、植物や地球、私たちが生きる上で欠かせない、大変貴重な自然の恵みです。
そんな一見ネガティブと捉えられる雨が、私が大切にする自然にとって、ポジティブな存在であることに魅力を感じ、ブランド・アトリエを「雨」と名付けました。
鎌倉で雨を見ていると、そのことを自然と思い出させてくれる。
葉に落ちる雨音、湿度を含んだ空気、しっとりと深まる緑。都内にいた頃は、合理性の中で雨を“面倒なもの”として受け取ることが多かったけれど、この鎌倉では雨がネガティブでなくポジティブ。
自然を目にしたときのように心が潤う感覚をもたらす作品でありたいと思っています。

最後に
今回のインタビューを通して私たちが感じたことは、誰にとっても身近である雨や植物、自然といったものこそ、“人生を豊かにする源泉”であることです。
太陽、風、雨、土などの自然の恵みは、すべての人に平等に与えられているもの。
けれど現代社会の中で生きる私たちは、どこか合理性を求め、その存在に気づくための感受性が、鈍っているのかもしれません。
そんな日々の中で、「雨」の作品は自然を近くに感じられる存在です。
また、インタビューの中で印象的だったのは、ブランド、アトリエの名前にもなっている「雨」が、亀井さんにとって煩わしさではなく、自然を潤すポジティブなものとして捉えられていたこと。
その心の在り方が作品へと昇華され、その作品と対峙した時に感じる“あたたかさ”として、私たちに届いているのかもしれません。






Infomation
神奈川県鎌倉市山ノ内157 去来庵
JR横須賀線・湘南新宿線 北鎌倉駅 徒歩8分
完全予約制
不定休

